こんにちは。アート大好きkurokoです。
中でもバンクシーは大好きです!
さて、このコロナ禍にかかわらず、アメリカでは、黒人男性(ジョージ・フロイドさん)が警察に不当に殺害されたとして、デモが盛んに繰り返されています。
このデモを警察が鎮圧し、その過程でさらに逮捕者が出たり、デモの一部が暴徒化し、略奪行為を行ったり、トランプ大統領のツイッター投稿が物議をかもしたりなど、かなり混乱しています。
この批判が高まる中、バンクシーが自身のインスタグラムに、この状況を批判するように取れる作品を公開しました。
私は、アートの存在理由は、その時の社会環境における考えへの問いや疑問、新たな価値観を示す事だと考えています。
歴史としてそれを振り返り考えることもできますが、2度とできないことは、今動いているアートを体感して行くことだと思います。
今回はまさに、今動いている事、Banksyがこの問題に対して投稿した内容を深掘りしたいと思います。
そもそも黒人差別の問題って・・
まず、そもそも今回発生している黒人差別の問題について、概要を踏まえておきましょう。
- 2020/5/25 ジョージ・フロイドさんが警察官に押さえ付けられた後、死亡。その際に撮影されていた動画がネットに拡散した。(動画内では「息ができない」「殺さないで」というフロイドさんの苦しそうな発言が確認できる)
- 翌日5/26 関与した4人の警察官が解雇された。ただし、訴追されたのは、動画で確認できる1名の容疑者のみであった。
- 5/26にミネアポリスで抗議活動が発生。
- 5/27にはエスカレートし、全米各地にデモが拡散。すでにこの日にはでもが激化し警察は鎮圧にゴム弾や催涙ガスも使用。
- 5/28にはさらにエスカレート・拡大。スーパーマーケットのターゲットが略奪の被害にあった店舗があることを発表、ミネソタ州の全店舗を閉めた。ニューヨークで70人以上の逮捕者が発生。トランプ大統領は「略奪者に発砲する可能性がある」とツイートし物議をかもした。
- 5/29にはオバマ大統領も良くなる事を望むという趣旨のツイートをした。その一方で一部の記者が逮捕されたり、デモが激化する事で逮捕者の増加が進んでしまう。また一時ホワイトハウスを封鎖し、トランプ大統領が地下に避難したというニュースも発信された。
- 5/30にはさらにデモ参加者と警察の衝突が激化。州兵も動員された。一方米国内のみならず、イギリスなど一部のヨーロッパにもデモが飛び火。
- 6/1にはトランプ大統領が、デモの鎮圧に軍の投入も自だないと演説。それでもデモは治らない状況
- その後もデモは続く。一方、6/3にはきっかけとなったジョージ・フロイドさんの事件に関わった警察官4人が殺人罪などで起訴された。
欧米における黒人差別の歴史は、1862年にリンカーン大統領が奴隷解放宣言に遡ります。しかしその後も差別はなかなか解消されず、キング牧師の公民権運動やマルコムX、90年代初頭のロス暴動などがあります。しかし、2008年には米国発の黒人の血を引くオバマ氏が大統領にもなり、21世紀にはすでに過去の問題になりかけていました。
こんな歴史と思っている我々日本人にとってみれば、今更黒人への差別問題?と首をかしげたくなる事態でもありますが、人種や民族への差別の問題の根の深さを改めて考えざるを得ない状況ではないでしょうか?
バンクシーが発表した作品
この状況下、バンクシーが新たな作品を制作、インスタグラムで投稿しました。
黒人を連想させる遺影とその横に大きな蝋燭があります。
亡くなったジョージ・フロイドさんの追悼を思わせる絵です。
2枚目はさらにこの絵を引いた全体像が確認できる写真になっています。
一枚目でみられた蝋燭の炎が、アメリカの国旗を燃やし始めています。
デモと警察の衝突を連想させます。
また、人種差別を超越したと考えられていたアメリカの象徴である国旗がやかれる事で、過去の栄光が崩れている状況にあるというように深読みもできます。
蝋燭の周辺には「ゆり」の花が捧げられています。
一見亡くなったジョージ・フロイドさんへの追悼のために捧げられた花束に感じますが、
少し深読みすると、「ゆり」の花言葉は種類によっていくつか違うそうです。
百合の西洋における花言葉は、「純粋」、「洗練された」という意味です。
この文脈では、あまり合うような感じには思えません。
しかし、これが「クロユリ」の場合は、この意味が「呪い」になるそうです。
欧州、米国を含む人種差別の歴史が、まるで「呪い」のように長い時間をかけても解消されず再び発生している事を表現している、問いを立てているようにも感じました。
三枚目は文字のみ
もう一枚の画像がついています。
上記そのまま書き出します。
At first I thought I should just shut up and listen to black people about this issue.
But why would I do that?
It’s not their problem. It’s mine.People of colour are being failed by the system. The white system. Like a broken pipe flooding the apartment of the people living downstairs.This faulty system is making their life a misery, but it’s not their job to fix it. They can’t – no-one will let them in the apartment upstairs.
This is a white problem. And if white people don’t fix it. someone will have to come upstairs and kick the door in.
下記は筆者の翻訳です。(間違っている可能性、解釈の違いの可能性があります)
当初はこの問題について、私は黙って黒人に耳を傾けるべきだと考えていました。
しかし、なんでそう思ってしまったのか。。
だって、これは彼らの問題ではなく、私の問題なんです。
つまり、この問題はシステムの問題なのです。白人が作ったシステムの。
例えるなら、アパートの上階に住んでいる人の水道管が壊れたような状態です。この場合、階下の人が被害を受けます。
階下の方の生活はこの仕組みの問題で悲惨なものになりますが、その仕組みを直すのは彼らの仕事ではありません。というよりは、そもそも直す事ができません。上階のアパートに入れないからです。
これは白人の問題です。そして白人が仕組みを直さなければ、誰かが上に来てそのドアを蹴飛ばさなければならなくなってしまうでしょう。
非常にわかりやすい事例で話されているなと思いました。
このデモの重みや、仕組みを変えていかなければならない事が考えさせられます。
アートという形で、このような問いを投げかける。
私たちもアートにアンテナを張って、リアルタイム進行形で起きている問題に真剣に考えて行けるようにしたいなと改めて思いました。
人気記事
おすすめ! アートグッズ、調べたらバンクシー(Banksy)のオシャレでかっこいいグッズが結構ある
おすすめ! バスキア(Basquiat)は、なぜ日本でこれほど有名になったのか