今、バスキアがとっても人気です。
森美術館では、バスキア展を行なっています。
この展覧会に行ってきましたので、レポートしたいと思います。
しかし、そもそも、なぜこんなにも人気があるのでしょうか?
2017年に前澤社長が123億円でバスキアの作品を購入したことの影響も大きいですが、意外と日本とも関係していたのです。
なお、バスキアの絵は、「とにかくかっこいい」という評判がつくことが多いですが、
作品の多くは、今から30年〜40年も前の作品です。
1980年代前半にニューヨークに彗星のように現れ活躍、
しかし、本人としては、思ったように評価されず、
麻薬の過剰摂取で27歳で亡くなりました。
若いエネルギーが詰まった作品だけが残り、時代が彼にようやく追いついてきた。という表現が適切なのかもしれません。
そんなバスキアについて、展示会の内容、バスキアがこれほどまで高騰してきているわけについて考察して見ました。
バスキア展
2019年9月から11月まで、六本木ヒルズの森美術館で、日本初の本格的なバスキア展が開催されています。
平日でも結構待ちます!
筆者も行ってきましたが、平日でも入るまでに30分待ちでした!
バスキアの人気のほどが伺えます。
(コンビニなどで前売り券を購入できるようで、待ち時間短縮にはオススメのようです)
バスキア展の入館料はそこそこ高い。ただし吉岡里帆さんの音声ガイドが無料でついてくる!
当日 | 前売 / 団体 | |
一般 | 2,100円 | 1,900円 |
高校・大学生 | 1,600円 | 1,400円 |
小・中学生 | 1,100円 | 900円 |
2000円を超える金額なので、映画よりも高く、なかなかの高設定かなと思います。
しかし、通常500円かかる音声ガイドが無料でついてきます。
その分、会場内での言葉の説明がほとんどなく、絵を見てそれぞれの解釈をして考えるという楽しみ方です。
個人的には、音声ガイドで説明してくれる内容は、ごく一部の内容で、もう少し深い考察などをしてくれても良いかなとも思いました。
バスキア展でどんな作品を見ることができるのか。
一部の作品は、写真を撮ることができます。
筆者が撮影した写真、購入した絵葉書、購入したバスキアのオフィシャルブックからご紹介します。
なお、バスキア展 メイドインジャパンの本はネットでも購入可能です。
バスキア展 ヒーローズ(HEROS)
まずは、ZOZOの元社長 前澤友作氏が123億で購入した作品です。
1982年に制作、題名は「無題」です。
やっぱり、純粋にかっこいいですよね。
もう、見慣れてしまったからなのか。。
バスキアの若干22歳の時の作品です。
この絵もそうですが、バスキアは、ニューヨークで生まれ育ち、アートの世界を目指していましたが、黒人であったために、差別を受けたり、アート界にうまく入れなかったりという経験をしたそうです。そこに対するコンプレックスや、皮肉的な表現が、今日では大きく評価されている内容です。
もう一つ。こちら。
バスキアの絵によく出てくる「王冠」をかぶっています。
この王冠の意味ですが、購入した本にはこのような説明がありました。
フランチェスコ・クレメンテは「ジャン=ミシェルの描く王冠は、3つの頂きを持っている。それは、彼の3つの血統、つまり詩人、音楽家、偉大なボクシングチャンピオンを示すものだ。ボクシングチャンピオンはその中で最も画家に似ている。ジャンにとって自身の技術は、趣味や年齢への偏見なしに彼が強いと考えたものと格闘するためのものであった」
王冠の三つの頂きの意味、そして、ボクシングにも深いつながりがバスキアにはあったんですね。
その前提でもう一度絵を見てみるとまた違う発見が出てきます。
これらの絵画の近くには、習作とも言える多数の顔や骸骨などを書いたスケッチも今回展示されていました。
バスキアらしい絵の感じですが、よくみると一つ一つどれも違うのでとてもお守りそいです。
その一つがポストカードにあったので、購入しました。
バスキア展 セルフポートレイト
バスキアは自画像もたくさん書いています。
これは、自画像なの?と思えるような作品。
左側の真っ黒な悪魔のような人物。
これがバスキアというのはイメージつきますね。髪の毛の雰囲気はバスキアそのもの。
右側のビンの蓋を集めて作ったようなものはなんでしょうか。
私はこちらも抽象化した王冠をかぶるバスキアの顔のようにも感じました。
今回の展示作品に限らず、バスキアは自らを真っ黒に塗りつくして表現しています。
なぜか、とても印象に残るようなデザインです。
バスキア展 ワーズ(WORDS)
バスキアの絵画の特徴のもう一つがWORDS。言葉です。
絵なのですが、言葉が大量に入っています。
今回のバスキア展の評判・クチコミをツイッターなどで見ていると、英語がわかればもっと楽しめる。という意見も多かったです。
確かに単語だけちょっとわかっても、その背景などに思いを巡らすには英語をよく理解していることが大切かなと思ったりします。
例えばこちらの絵。細々と対象の説明が書かれており、真ん中の人物の描写がなければ、何かを検討するための資料にしか見えません。
私はこの絵が結構好きですね。
もう一つは、こちら。
「黒い石鹸」という題名のつく、スケッチです。
当時のアメリカでは、黒人に対して、石鹸で黒い肌を洗えば白くなるといった差別的な発言もあったようです。
その背景を踏まえて考えると、この作品には、
「白い肌を黒い石鹸で洗えば、黒くできる」
といった皮肉的な、逆の発想があるかもしれないと解釈できます。
バスキア展 メイド・イン・ジャパン
今回の森美術館での展覧会は、「メイド・イン・ジャパン」という名前がついています。
日本にまつわる作品が数多く集められています。
1980年代初頭に活躍したバスキア。
当時日本は、「Japan as No1」とも言われるくらい、高度発展し、バブルに向かっていました。
アメリカから見れば、その当時日本の成長は驚異として感じられていたと想定されます。
一方で、バスキア自身は日本に少なくとも3回来日していることはわかっているようです。82年、83年、85年。日本での展覧会も行なっています。
当時、日本人は世界の美術を買い漁っていた時期です。アーティストとして日本の市場を意識するということもあったのではないかと私は考えています。
以上を踏まえ、バスキアが、日本をどのように捉えていたのかはよくわかりませんが、日本に対して、必ずしも好意的な印象だけを持っていたわけではない可能性や、当時の日本の経済力を踏まえ、アーティストとして有望な市場とみていたのかもしれない。
と想定しながら作品を見てみました。
メイド・イン・ジャパン1
まずは、題名がそのまま「メイド・イン・ジャパン」のこの作品。
ナポレオン 1982年
こちららの絵には「ナポレオン」という名前がついていますが、100万円といった文字も確認できます。
オニオンガム 1983年
「オニオンガム」という題名のこちらの作品からは、メイドインジャパンの文字と、オニオンガムがオニオンのような味で舌がヒリヒリするような描写と言葉が書かれているように読めます。
オニオンガムという存在を私はわかりませんが、日本製のガムはまずいよ。といっているようにも。。
プラスティックのサックス(1984年)
こちらの絵には、日本語の文字も登場します。
「おりがみ」のパッケージデザインを模写したような記載があります。
炭素/酸素(1984年)
こちらは、真ん中に自画像とも取れる人の姿。
そして、5重等のような日本のイメージもありますね。
爆弾が爆発する姿は、どうしても原爆などをイメージしてしまうのは私だけでしょうか?
消防士(北九州市立美術館所蔵)
こちらは北九州市の美術館で所蔵している作品
この消防士ですが、実は北九州市が35年前に375万で購入しており、現在では100億円にものぼる価値があるのではないかと言われています!
1984年当時は、バスキアはまだそこまで有名ではありませんでしたので、これを購入した北九州市立美術館の学芸員の方は、相当な見る目を持った方ですね
なお、北九州市立美術館では、他にも、草間弥生さんの「南瓜(かぼちゃ)」など大作4作を所蔵しているとのこと。こちらも今では億越えの作品になっています。
一方で、北九州市美術館の基金は財政難に陥っており、追加での購入は見送っているとのことです。
この作品を売却すれば、購入できる作品はかなり増えるので、注目されるところですね。
アートの資産についての話はこちらの記事でも記載しています。
参考:芸術家 松山智一さんの絵画を購入した話(情熱大陸でも特集!) -アートはいろんな意味で資産になる
バスキアの絵画が高騰したわけ(仮説)
バスキアの絵画はなぜこれほど人気があるのでしょうか?
通常、アーティストには3つの要素が必要であると言われています。
- それまでにない新しい価値観を提示していること
- 人の心を揺り動かすインパクトがあること
- かっこいい / かわいいと感じられること
もちろん、バスキアの作品はこのすべてを持っていると思います。
バスキアのアートは、とにかく「かっこいい」と言われます。
(私も、とにかくかっこいいなぁと思います。)
今回バスキア展サポーターの設楽さんも、番組で「とにかく、かっこいいんだよね」と語っています。
ですが、本質的に有名になったのは、やはり、アートとして本質的な、新しい価値観を提示している点とインパクトだと思います。
黒人という出自が逆に今までに無かった表現を実現してきたと言えます。
そして、インパクトのある絵画表現。
バスキアはいろんな人の心も動かす
バスキアはアンディ・ウォーホールと仲良く、いくつか共同作品まで残しています。
単に
さらに、あのマドンナがバスキアと交際していた頃の写真をインスタに投稿しました。
死後の再評価からさらなる高みへ
バスキアは、1980年のニューヨークでも評価されましたが、さらに死後の1992年にニューヨークの有名キュレーターであるリチャード・マーシャルが、バスキアの回顧展を企画し、再評価しています。その後その回顧展は全世界をめぐり、アーティストの作品としての地位を確立して行きます。
そしてその後、1996年に映画が作られました。死後、約10年たってからの映画化です。
なお、2017年には、「バスキア、10代最後のとき」も制作されました。
2016年5月にZOZOの前澤友作氏は、バスキアの作品を62億円で購入します。
この時もニュースで話題になりました。
そして、2017年5月、前澤氏は、123億で、冒頭の青のバスキアと呼ばれる有名な絵を落札します。
この時は、特に大きく取り上げられ、バスキアの名前は、特に日本で前澤氏の名前とともに広がりました。
ホリエモンは、コスパの良いPR手法だという話までしていました。
このようにして、バスキア自身のアートとしての才能に加えて、バスキアを支持、支援する人が次から次に現れ、評価されることで、高みに上り詰めていったことがわかります。
バスキアのグッズがかわいい!
ZOZO Townで商品を買うと送られてくるダンボールがバスキアの絵になりました。
バスキアの作品は、当然高すぎて買えませんが、バスキア作品をベースにしたグッズは我々にも手が届きます。
そのデザインがかっこいいので、グッズとしても結構恥ずかしくもなく、使えます!
Tシャツ
まずは定番Tシャツ。展示会のアートショップにも色々ありました!
結構色々な種類があるようです。
おしゃれCANTEEN
限定品として、コークシルクのCANTEENが出ています。
モレスキンの手帳
私は、モレスキンは好きなので、速攻買ってしまいました。。
トートバッグ
バスキア展示会のアートショップにも色々ありました!
なんかamazonの方が安く売っているように見えます。。
スマホケース
これは、ちょっとかっこいい。このゴジラ的なデザインもなんか好き
この記事はここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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