ジム・ロジャース 危機の時代 -コロナ以降の経済がどうなるのか

ジム・ロジャース 危機の時代 -コロナ以降の経済がどうなるのか

こんにちは。金の亡者kurokoです。(笑)

このコロナ禍で株式市場の動きは全く読めません。
正確に言えば、2月末から3月にかけての大暴落はそれほど違和感はなかったのではないかと思います。
その後、経済的な影響は甚大にもかかわらず、株価は大きく戻しました。
そして、6月には再び下げ始めています。

この状況下において、投資の専門家はどのように考えているのか気になります。

そして、このタイミングで、ジム・ロジャーズが新たな本を出版しています。

 

ジム・ロジャーズの主張が全て正しいかというとそういうわけでも無いとは思いますが、非常に考えさせられる本であると思います。
このブログでは、考察も交え、コロナ後の世界にも思いをはせ、深掘りしたいと思います。

 

ジム・ロジャーズが唱える投資のコツ

ジム・ロジャーズさんの他の著書でも繰り返し話されている事ですが、改めて投資のコツ、うまく投資をする上で守らねばならない規則とも言えるべき事があります。

私の考えでは、以下三つは最低限投資をする上で考慮しておいた方が良い事であると思います。

  • 歴史に学ぶ事
  • 人の言った通りにせず、自分の頭で考える事
  • 真実を追うよりも人々がどう考えるかを追え

一つひとつどういう事であるか深掘りしていきましょう。

歴史に学べ

これは字の通り。

投資に限った話ではありません。
歴史は繰り返す。とは何度も語られている話です。

経済的な危機は何度も起きていますが、我々人間は時間と共に過去に起きた事を忘れてしまいがちです。

もう少し言えば、全く同じ状況で起きる事が無いので、例えそれが自分が生きている期間で同じような事が繰り返されていたとしても、同じように受け取る事は難しいです。

例えば、バブル崩壊が起きた時、私は小学生でした。
ITバブルの崩壊は20代前半、
リーマンショックは30代前半でした。

それらの年代で感じる経済危機の受け取り方は全く違います。

 

これは人間だけに言えるわけではなく、社会全体にも言える話です。

バブル崩壊の時に、中国は全く経済力の無い国でした。
しかし、リーマンショックの際には中国は世界の工場となっており、同時にお金もあり、中国が打ち出した施策により世界経済が救われた大きな要因の一つになっていると言われています。

 

このように歴史を振り返り、そこから学ぶ事は当然のように大切ですが、その時の社会環境を加味して考えないとあまり意味がありません。

(歴史については次の章で詳述します)

 

人の言った通りにせず、自分の頭で考えろ

ジム・ロジャーズは「危機の時代」でも彼の今までの著書、インタビューでも繰り返し言っている言葉があります。

「わからない事に投資するな」

例えば、ジム・ロジャーズはロシアは有力な投資先と話す場面があります。
一方で、ロシアの事がわからなければ投資するべきでは無いとも言います。

どの株を買えばいいかについて、正直私は有識者の意見を大いに参考にします。
孫さんがどこぞのスタートアップの株を買っていると言われれば、その株を買いたくなります。

 

ですが、そう言った行為は絶対にしてはならないと主張されています。

 

私なりの解釈は、投資は「いつ買うか」と「いつ売るか」が最も大切です。
いつ買うかについては、ある程度人の意見を聞く事ができます。
しかし、それをいつ売るかまで追っていけるかというとそうではありません。

経済環境の状況は刻々と変化しています。
結局自分で理解していないと、買い時はわかっても、売り時がわかりません。

もう一つは、「今買え」という情報は、どれほどエクスクリューシブな情報なのでしょうか。
株は他の人と同じ行動をしていても稼ぐ事はできません。
これからどのようになるかを予測して動く必要があるのです。

人の意見を取り入れている限り、その行動は必ず遅れます。
自分なりのオリジナルな情報源を探して投資する方が効率性は圧倒的に良いのです。

 

真実よりも人がどう考えるのかを追え

株は美人投票と一緒という言葉を聞いた事はありませんか?

自分が誰が美人であるかよりも、他の人が誰が美人と思うか?を当てる必要があります。
これは、真の美人が誰かというのを突き詰めても意味がないという事でもあります。

ジム・ロジャーズの著書では例示しています。

例えば、米ドルの信頼は理屈上、米国の債務が圧倒的に大きく今は爆発寸前の状況で極めて危険だとジム・ロジャーズは主張しています。
しかし、彼は危機が起きる状況において、米ドルを保持し続けていると話します。

その理由は、ジム・ロジャーズ本人は米ドルは極めて危ない通貨だという認識をしています(彼の真実)が、
人々はそうは認識せず、危機の時は世界の基軸通貨である米ドルを持とう。と考える。だから米ドルを持つ。
という判断をするというのです。

しばしば、実体経済は経済理論とは違った動きをする事があります。
これは、経済理論が、「人は合理的に動く」という前提のもと算出された理論である事が原因です。
「人は合理的に判断できるほどの経済知識を持っていない」
という事が前提としてあるため、結果的に経済理論とは違った動きをするという結果になるという事です。

ですから、最も重要なのは、「真実」よりも「人がどう思うか」の方が重要であるという事です。

 

歴史に学ぶ:過去の危機で何が起きたのか

この章では、ジム・ロジャーズが言う「過去の危機に学べ」と言う点、実際に何が起きたのかについて掘り下げていきたいと思います。

1929年世界恐慌で起きた事

最もよく出る過去の恐慌は1929年の世界恐慌と言えるのでは無いでしょうか。

具体的な概要はWikipediaの「世界恐慌」を読んでいただければと思いますが、ここでは、その結果どのような事が起こったのかに注目します。

まず、起きたのは、各国は自国を守るべき活動を強化したと言うことです。

米国では、当時フーヴァー大統領が国内産業を守る施策を打ち出しました。そして議会はスムート・ホーリー関税法を作りました。
これは海外からの輸入品に大きな関税をかけ、国内産業を守ろうと言う施策です。

これが実施されると、当然貿易は鈍化します。
国内で生産している生産者は当然安くて質の良い海外製品という競合がいなくなるので楽になります。
一方で、消費者は質が良く安い海外製品という選択肢がなくなり、質はそこそこでそれなりに値段のする国内製品しか買う事ができないので、購入意欲としてはさらに下がります。

結果として、連続的に景気は悪化します。

この愚策と言われる事を米国から欧州を初め世界的に実施していきます。

イギリスでも米国に続き関税を引き上げ、当時イギリスの世界中に広がった植民地間の貿易には関税増加をしませんでした。
この施策を「スタンリー(英ポンド)ブロック経済圏」と呼ばれました。

フランスでも同様に「フランブロック経済圏」を作り出します。

世界は、ブロック経済圏に分断され、結果として世界全体での経済は縮小する事になります。

 

さらに1929年は第一次大戦が終結し、敗戦国ドイツの多額の賠償が残っていました。
同時にイギリスは戦勝国でしたが、戦費として米国から多額の借り入れをしていました。
この返済はドイツの賠償金を前提としていましたが、世界恐慌が起こり、ドイツは賠償金の返金をする事ができません。
結果、英国も米国への負債の返済が滞る事になりました。

そして、この要因こそが世界が第二次世界大戦に行かざるを得なくなった状況を作り出していったのです。

 

現在起きている事は、
この自国への過剰な愛国主義、
そして、米中の関税の引き上げ合戦など似たような状況にあるのでは無いでしょうか。

我々は歴史に学ぶ必要があります。
関税を引き上げる程度でおさまっていれば良いですが、どこかの国が圧倒的に破綻するほどの戦いをしては絶対になりません。
それは戦争への道へと繋がっていく事でしょう。
どこかの国が圧倒的に負けてはならないのです。
世界全体でこの危機に立ち向かう必要があります。

 

また、1929年の世界恐慌で学ぶもう一つの点は、金融センターの洗い替え。という事があります。

世界恐慌前は、今では信じられませんが、欧州の金融センターはウィーンでした。
1931年、世界恐慌の煽りを受け、ウィーンの金融センターが破綻します。

続いて、ドイツの銀行が連鎖破綻します。

さらに英国中央銀行であるイングランド銀行が金本位制を廃止します。

ブロック経済が進行した理由がこのような金融センターの崩壊も一因であると言われています。

 

現在の金融センターはニューヨークのウォールストリートですが、そこが破綻し、どこか別のところ。例えば中国などに移動する事はあるのでしょうか。。

 

1990年代の日本のバブル崩壊

日本のバブル崩壊は、我々日本人にとっても記憶の新しいところです。
そしてその後の対処の遅れについては今でも批判されますが、失われた10年、失われた30年とも言われる低成長時代を我々は今も歩んでいます。

ジム・ロジャーズは、この話で秀逸な例え話をしています。

山火事は、それ自体は大変に悲しむべき事であるが、山火事の後の驚異的な自然の回復は凄まじく、以前にもまして豊かな森が作られる。
と語っています。

「危機」において、実はチャンスでもあるのです。
平時では潰す事ができなかった不採算事業、不採算会社を潰す事を加速させ、新陳代謝を促す効果があるという事です。

1990年代に行った日本のオペレーションは、潰すべき企業に支援をし、新陳代謝を促さず、死にかけの体に生き残らせるための薬を無理やり注入し続けた。患者は死にはしなかったが、元のように生気を取り戻す事はなく、無駄に寿命が伸びて緩やかに死んでいった。

こういう事が起きたのでは無いかと思います。

結局、新陳代謝は必要で、その代謝を無駄に止めるような神の手の政府の支援は、中長期的にはマイナスに働くという事を意味しています。

 

一方で初めて知ったのですが、
1990年代、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドと言ったスカンジナビア諸国もバブルがはじけ、日本同様に非常に厳しい状況にあったそうです。

これらの国々が実施したのは、金融機関を国有にして、不良債権を切り離して処理、聖域を無くして再建に取り組みました。
結果、日本よりも遥かに早く危機を脱し、元の状態に戻したとのことです。

 

それでは、今の状況はどうでしょうか?
コロナ禍により、無駄な助成をばらまいてはいないでしょうか?
適切な新陳代謝を促す事ができているでしょうか?

この施策が中長期で考えた時の経済力を決めていく事になると思います。

 

危機はマイノリティが危険にさらされる

もう一つ危機の歴史において、共通的に扱われる事象があります。

それは、「マイノリティが危険にさらされる」という事です。

 

例えば、今回のコロナ禍においても、格差はより増したと言われています。
つまり、お金持ちはさらにお金持ちになり、貧困層はさらに貧困になったと言えます。

ここでいうマイノリティは「お金持ち」のことです。
彼らは、危機が起きるとターゲットになります。
貧困層やミドル層も不平不満を抱え、デモを実施し、お金持ちに対する圧力を増していきます。

現在起こっている黒人差別問題のデモは平時以上に異様に盛り上がっていると言われています。
コロナ禍による危機がこの状況を作り出していると言えるでしょう。

 

もう一つのマイノリティはその国にとっての「外国人」です。

危機においては、失業率が上がります。
失業された方の中には「外国人がいなければ自分が就業できていたはず」
という感情を持つ方が必ず出てきます。

これにより、愛国心という形に変わり、外国人の排除という流れにつながるリスクがあります。
第二次世界大戦下でのユダヤ人の虐殺はこのような背景が大きいと言われています。

 

投資とは関係ない話になりますが、自分自身がフェアであるという事、
また、上記のような事が起こりうるという事を踏まえたリスク管理もまた必要だとも思います。

 

投資のチャンスはどこか

話を投資に戻しましょう。

それでは、投資のチャンスはどのように掴めば良いのでしょうか?

今までで、人の意見をそのまま鵜呑みにしてはならない事、歴史に学ぶ事、人々がどう考えるかに注目する事。という規律に従うべきと習いました。

 

これも踏まえて、投資のチャンスはどこにあるのでしょうか。
ジム・ロジャーズさんの考えを紹介します。

注)あくまでジム・ロジャーズさんの意見であり、これは人の話を鵜呑みにしてはならないという点でパラドキシカルに重要です。

 

アメリカの覇権から中国に変わっていく

著書「危機の時代」の中でも何度となく中国の台頭について語られています。

我々日本人としても、そうなってはほしくないと思いつつ、実はそうなるだろうとどこかで思っている事ではないでしょうか?
しかし、実際にアメリカを見限り、全面的に中国が覇権を握るという前提で考えている方は、まだまだ少ないと思います。

しかも、中国の共産党独裁政権の危うさをぬぐい切る事は難しいです。

 

ジム・ロジャーズは、経済の発展において、「民主主義」である事は条件ではないと言い切っています。
また一方で、国を閉ざし外部の資本を入れない国は滅んでいくという事も言っています。

これは私は多少負に落ちました。民主主義が重要というよりは、資本主義が重要。
社会主義ではダメだが、独裁が悪いわけではない。ただし、独裁者が賢くなければ国は滅んでいく。
おそらく、有能なリーダーをどのように維持し続けるかというのが、過去の世襲制の王政よりも選挙で選んだ方が良いですし、
過度な選挙対策とフェイクニュースなどによる洗脳された選挙よりも、選挙ではないが、有能なリーダーが選定される仕組みを持っている国が強い。という事なのかと理解しました。

 

ですので、投資のチャンスは、今後アメリカよりも中国にある。
と言えます。

 

危機におけるお金の流れを想定する

先ほど、ジム・ロジャーズは、この危機の前に米ドルを多く保持していると話しました。
米ドルがかなり危険水準に達している通貨であるにもかかわらずです。

その理由は、人々が危機においては米ドルを保持して安心しようと考えるから。です。
真実がどうかは関係ありません。人々は米ドルへの信頼が強いのです。

「金」も危機下においては変われる資産だとジム・ロジャーズは話しています。
しかし、たびたび、金は危機下で下げていると話します。
理由は、金の流動性が低い事です。
つまり、危機が発生し、金を現金に変換して流動性を確保する人がいるという事です。

一方で中長期的には、金の価格が上がると話しています。
理由のもう一つに、中国人は金が好きだという事を挙げています。
過去の危機の際には、中国人の購入能力が低く、それほど購入されなかったが、今は大きく変わったという点を挙げています。

最後に、ジム・ロジャーズは、危機の前までに米ドルを保持し、人々が米ドルを購入し米ドルの価値がある程度高くなったところで別の何かに変換するとのことです。その有力候補が「金」である。と話しています。

 

政府の動きを細かく観察せよ

次にジム・ロジャーズは政府の動きを細かく観察する事を推奨しています。

政府が環境を気にして、何かをやろうとしていれば、環境によくなるかどうかとは関係なく、環境に関する市場が大きくなる。という事です。

昨今ESG投資というのが騒がれています。
E=環境、S=社会、G=統治という意味です。
社会貢献や社会課題の解決に近年急速に注目が集まっています。

社会貢献や社会課題の解決が世の中にとって良い事だから投資するのではなく、
政府が注目しているから、投資をせよ。
とジム・ロジャーズは語ります。

心のない言葉だなぁ。と思いつつも、それもまた真実だと思います。

 

企業分析をして変化を補足せよ

最後は危機だけでなく、常に言える事です。

企業が変わっている点に注目せよ。
という事です。

企業のどこを分析すればいいのでしょうか?

ジム・ロジャーズは、投資家は損益計算書から売上の多寡、利益の多寡を分析するが、
もちろんそれも大切だが、より注目すべき事にバランスシートに注目せよと話します。

 

なぜバランスシートなのか?

こうです。

複数年にわたるバランスシートを比較分析する事で、
例えば、借金が減っている企業には何かが起こっている。
逆に借金が増えている企業にもまた何がか起こっている。

この変化は何がもたらしているのか、観察、分析することが何よりも大切だ。と話しています。

 

なるほど、皆が注目せずに、気付いていない企業の変化を補足せよという事です。
この教えに基づいて今後私の投資プランも考えていこうと思い返しました。

 

今回の記事は以上です。

ジム・ロジャーズさんの著書再掲しておきます。

 

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