こんにちは。建築にはめがないkurokoです。
先日香川県高松市に旅行してきました。
香川県はアートの島、直島やイサム・ノグチ庭園美術館など芸術を目的に訪れる人も多い場所です。
そして、庁舎建築の中でも有名なのが香川県庁舎です。
現役庁舎では全国で初めて国の重要文化財にも指定されています!
香川県庁舎は戦後最初に最も有名になったと言われる建築家丹下健三氏の設計です。
丹下さんの建築といえば、私は代々木体育館が大好きで、
初めて見た時の不思議な構造、巨大であるにもかかわらず長い年月あの形を維持できているのにワクワクしました。
大学を卒業してはや20年、いつか見に行きたいと思っていましたが、ついにその時が来ました。
晩年丹下先生は東京都庁舎も設計することになりますが、そこに通づるようなデザイン・考え方が含まれているとともに、1958年としては斬新な、60年代のデザインのお手本になったのではないかと思うような構造・デザインがされているようにも感じました。
それでは香川県庁舎東館を見ていきましょう!!
香川県庁舎外観
手前が1958年に作られた香川県庁舎、現在は東館
奥には同じく丹下先生が設計して2000年にできた新庁舎です。
二つ並ぶとなんだか奥の新庁舎が圧倒的に高く綺麗ですが、手前が古民家のように愛らしく見えてきます。
新庁舎を作るときの設計の検討がどうなされたのかはとても気になりました。
旧庁舎と新庁舎は隣に建てられ廊下で繋がっているものの、全く別物のとして存在しています。
旧庁舎を使いながら新庁舎を建設するプロセスを考えると二つ目をドンと作るのはありですが、
ヨーロッパ建築などを見ていると古い建物をうまく残しつつ新しい要素が入り込んで融合していくような設計があってもいいなと思いました。
道路に面するエントランスは、庁舎としての威厳を感じます。
時間が経ち古めかしくなっている事もうまく作用しているように感じます。
コンクリート造りですが、木造建築の梁のようなものが月でており、これは構造的には意味があるのかわかりませんが、かなり特徴的な印象を与えています。
写真で見るとある種異様さが残りますが、実物を見るととても自然で美しいものとして受け入れられる気がします。
ロックな内装デザイン
中に入って目につくのは、このデザイン。
大変大きいです。
時代は感じますが、ただただかっこいい!
一体このデザインはどういう理由でこうしたのでしょう。
振り返ると入り口が。
開放感と内部の守られている感ととても落ち着きます。
制服を着た掃除のおばちゃんもなんかいいんです!
大きな窓の先に、たくさんの光がある外の景色が美しい
そしてふわっと浮いているようなこの階段。
高度経済成長期の建築の流行りだと思いますが、流行るだけあって今見ても素敵だなぁと見入ってしまいます。
入り口の横にもう一つ階段が。なるべく軽く透けるように作られていますね。
あまり気付きませんが、天井の電気の配置も規則性の中に不規則性があるようで気になってしまいます。
中二階から見下ろす景色。
階段もステキですが、この風景もたまらないです。
居心地の良いピロティ
一旦外に出て入り口付近を散策します
↑これで香川県庁と読むのかな??
庁舎の前面にはかなり広いピロティが用意されています。
コンクリートの規則正しい幾何学の中に、不規則で荒々しい石で作られた石垣のようなもの。この中には配管が通っているようです
また現れました。浮いているような階段。外なので中よりも重厚ではありますが、この広いピロティにただ一つだけ上下を繋ぐ階段といった雰囲気を感じます。(実際には他にもありますが)
外を歩いているとこんな造築物も。送水口を守るような荒々しい作り。
下の床も丸石の石畳になっています。建物が直線のみの一方で対照的なデザイン。そして違和感を感じない。
こちらは直線的なデザイン。イサム・ノグチの彫刻のような造形。
これはなんだったんだろう。。
近代的な日本庭園
南側には日本庭園を近代化させたような小川も流れる庭が広がります。
配置された荒々しい岩と整備された緑の芝生は日本庭園の思想を受け継ぎ自然を表しているように感じ、またデザインはコンクリートの都市の中にあって違和感を感じないように近代化Updateされています。
先ほどのロックな内装デザインが奥に見えます
逆から眺めるとこんな感じ。
奥の大きな山が借景でデザインされていたんだろうなーと。。
図面や模型も展示されている
県庁舎の入り口には模型も展示されていました。
結構大きな模型で精巧に作られているのでいくらでも眺めていられます。
ちょっと反射してわかりにくいですが、庭もしっかり作られ、内装のデザインもちゃんと再現されていて、なかなか手の込んだ仕事をされています。
図面もいくつか展示されていました。
いやー昔の手書きの図面です。味があるし、説明文も定規を使って丁寧に書くなど、これ自体が一つの作品ですよね。
こちらは断面図。
庁舎となってくるとそれほど面白味はないですが、ピロティのあたりはちょっと気になります。
家具もこだわりが
重要文化財に指定されるにあたって家具も含めて指定されているそうです。
有名建築家は大体家具も一緒に設計されていますが、丹下さんもそうだったんですね。
なんでかわからないですが、60年代って感じがするデザインなんですよね?
どういう要素なんだろう。この丸みを帯びた椅子とか、下の色の配色と並べ方がイームズあたりに近く感じるのでしょうか。
重要文化財になっているからか、棚には一切ものが置かれていない。。
これは残念でちゃんと使ったほうが私はいいと思うんですけどね〜
最後に謎のビッグボタン
これ写真だとスケールがわかりにくいですがめちゃくちゃでかいです。直径1mくらいあるのでは。。
答えがわかった時に押すには大きすぎる。笑
丹下健三先生とは
丹下健三さんは1913年生まれ。東京大学の建築科出身。
建築のノーベル賞と言われるプリツカー賞を日本人で初めて受賞(1987年)
まさに戦後の最初の日本を代表する建築家です。
代表作に代々木体育館や新宿の都庁舎などがあり、
東京大学に丹下研究室を持って次の世代でも有名な磯崎新、黒川紀章、谷口吉生など丹下先生の元から有名になった建築家をたくさん輩出しています。
香川県庁舎を設計した時の丹下健三さんは45歳。
建築家としてはまだまだ若いと思います。
そんな若い丹下さんがこんな重要文化財にもなる建物を設計したというのですから物凄い事なんだなと改めて実感しました。
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香川県庁舎の展示にこんな写真もありました。
1955ねんの写真のようです。若かりし磯崎新氏も映っております。
どこにある?香川県庁舎
香川県庁舎は高松市のど真ん中にあります。
有料ですが駐車場もあり、見学が可能です。
香川県庁舎
〒760-8570 香川県高松市番町四丁目1番10号
開庁時間 : 月曜日~金曜日・午前8時30分~午後5時15分
(休日・年末年始を除く)
皆様の参考になりましたら幸いです
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