D2Cの波 -人はストーリーを買いたがっている

D2C

こんにちは。新しいモノ・コト大好きなkurokoです。

 

以前、このブログでもモノ売りからコト売りに移行できない企業というテーマで記事を書きました。
➡️ 「モノ売り」から「コト売り」へのシフトが実現できない企業

 

最近さらにこれを推し進めた、「モノ」+「コト」売りという考え方が出てきています。
いわゆる「D2C企業」と呼ばれる企業のことです。
※D2C = Direct to Consumerの略で消費者とダイレクトにつながるという意味
※DNVBとも言われることあり。DNVB=Digital Native Vertical Brand。デジタルネイティブで垂直統合型のブランドという意味

 

今までの流れは、appleのスマホ、アマゾンや楽天と言ったECのプラットフォーマー(PFer)が消費者との強い接点を持ち、リアルな小売や、メーカーと言ったトラディショナルな企業はそのPFの上で商品やサービスを売るというモデルでした。

必然的にGAFAと言われるようにPFerが絶対に勝つと思われてきました。

D2Cはこの当たり前と思われた流れに全くのりません。
そして、その理由が「なるほどね」としっくりくる理屈があるのです。

今日の記事ではこのD2C企業が何者で、何を売っていて、なぜ指示されているのか。
具体的な事例とともに紹介していきたいと思います。

 

D2C企業とは?

D2C企業とはダイレクトに消費者とつながる企業だという事を話しました。

ですが、私は、本質はダイレクトにつながっている事ではないと考えています。

ダイレクトに繋がろうと思えば、自社のお店や自社のECサイトを作れば良いだけです。
ですが、それだけでは、そのサイトで購入する理由が消費者にはありません。

D2Cは、そこで買わなければならない理由を作り出しているのです。

それが、「世界観」です。

 

ちょっとわかりにくいので、具体例で説明します。

D2C企業とは言われず、GAFAのプラットフォーマーの一員ですが、Appleは、D2C企業が生まれる先駆けになったのだと言われています。

AppleのiPhoneは、発売当初こそイノベーティブで画期的な製品として売れに売れました。
しかし、今となっては、中国・台湾のメーカーをはじめとして、少なくともスマートフォンの機能としては優位性はありません。
さらに価格を見れば、一目瞭然の状態になっています。

それでもiPhoneが売れる理由。
その理由のひとつが、Appleの世界観に心動かされ、ファンになっている層が一定程度いるからです。

Appleの世界観に魅了されたファンたちは、機能で比較はしません。
機能を選んでいるわけではないからです。

 

このモデルを様々な領域に展開が2010年代で起き始めました。

amazonや量販店には出さずに、ネットで直接販売をします。
ただし、問題は、amazonや量販店に出さないということは、ユーザーが見つけてくれる可能性が低いです。
そこで、SNSや自社メディアを使ってユーザーを獲得していくことになります。
ここで、ユーザーを獲得するという事は、機能性や価格では絶対に獲得できません。amazonなどで価格や機能は比較できるからです。

ユーザーを獲得するのはそのブランドのファンになってもらうことなのです。

感覚的にはわかると思います。

 

詳しく知りたい方はこちらの書籍がおすすめです。

 

それでは、実際にD2Cブランドとはどのようなものがあるのでしょうか?

D2Cの具体事例

それでは、具体的にどのような企業・サービスがあるのでしょうか。
USでよく言われる代表的なサービスを列挙してみます。

USのD2Cブランド

 

これらの企業は具体的にどんなモノをどのように売っているのでしょうか。

 

メガネのWarby Parker

Warby Parkerはメガネのブランドです。
D2Cの代表的なブランドと言えると思います。

デジタルの体験が秀逸

Warby Parkerは店舗だけでなく、ECでも購入することが可能です。

気に入った5つのメガネを配送してくれ、気に入れば購入、気に入らなければ無料で返品が可能です。
その手続きの一つ一つがとてもサポーティブです。
メールなどで急かすわけでもなく、オススメのメガネ情報や、到着の連絡、試着の促しなどが、よくあるECからの機械的なメールではなく、手作り感のこもったメールで送られるので、「もてなされている」という気持ちになるのです。

 

面白いのは、Warby Parkerのインスタの使い方です。

「#warbyhometryon」というハッシュタグで、送られてきたメガネをかけて投稿すると、いろんな人からどのメガネが合っているかという投票をしてくれるのです。

 

 

この取り組みが優れているのは、

「ユーザがいろんな人にどのメガネが合うかというのを簡単に意見を聞ける」

というメリットを享受しながら、

「ユーザー自身がWarby Parkerの宣伝をしてくれている」

という点にあります。

SNSはこのように使うのが正解だ。というお手本のような設計になっています。

 

リアル店舗も世界観を共有する作りに

創業直後には、ニューヨークの公共図書館にゲリラ的にマーケティングを仕掛けています。
Warby Parkerの創業者らは、本が大好きなのです。その好きなことと仕事を結びつけています。

Warby Parkerのお店は、図書館のような雰囲気を醸し出しています。

もちろんこれらの本も購入することができます。
(蔦屋書店にちょっと似てますよね)

 

 

 

スーツケースのD2CブランドであるAway

Awayはスーツケースを主に扱うブランドです。

彼らの世界観は、スーツケースではなく、「旅」の世界感を売っています。

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Packing (cube) goals. #travelaway

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Awayはインスタを活用して幅広く発信しています。

 

Awayの創業当時の話がとても面白いので共有しておきます。

 

最初のプロダクトとなるスーツケースをホリデーシーズンに間に合うように計画していましたが、どうしても間に合わないことが判明しました。

 

そこで、彼らは旅をテーマにした本を作ることにしました。

 

その本を、「プロダクトができたら交換できるチケット」付きで225ドルで売り出したのです。

売り出した本はあっという間に売り切れになったそうです。

 

クラウドファウンディングやAKBの握手券付きCDの発想と近いですね。
このような売り方は本当に今後プロダクトを売るのではなく、世界観や、ユーザー自身を参加者にすると言った考え方にすることの大切さを感じます。

 

その結果もあり、Awayは「HEAR」という雑誌も作っています。
世界観を伝えるためには、メディア自体を持つ必要があったということです。

また、Awayは10年間もの返品保証を行っているのです。
これは本当に考えられない長さです。

 

Awayのプロダクトはまだ日本では購入できません。
似たようなブランドにTuplusがあります。
Tuplusもスーツケースを扱うブランドで、世界観を売るD2C企業です。
このプロダクトについては、詳しくはこちらの記事にしています。
➡️ めちゃクールなスーツケース。Tuplusを買ってみた!(口コミ・レビュー)

 

圧倒的な透明性を提示するEverlane

ファッション業界では、パリコレなどで毎年異なる流行を作り出し、
その流行に合わせて、製品を量産し、
流行が収束したら、売れ残りを大量に廃棄するというサイクルを毎年回しています。

売れ残りは、翌年には売れないからです。

この売れ残りの廃棄は、作った分の約半分とも言われています。
日本だけでも数十億着の衣類が焼却処分されています。
数十億です。人口1億に対してです。

Everlaneはこの問題に真っ向から対応しようというブランドです。
その世界観に共感するファンが、彼らのお客さんになるのです。

 

Transparent Pricing

Everlaneが実際に実施しているのは、極端に推し進めている「透明性」です。

私もWebサイトを見て驚いたのは、製品に要した原価の金額を明確にしています。

Everlane

出典:jp.everlane.com

上記の商品(カシミヤマフラー)では、定価が6,500円に対して、原価は3,050円、さらにその内訳が提示されています。

 

工場の生産される物語がある

さらに、生産した工場のことについても、工場との出会いやオーナーのことについてストーリーテイストで紹介しています。
そこには、関わっている人がいて、物語があります。
私たちは、この物語を知ることで、単に「かわいい洋服」という見た目以上に深い愛着感がついていくのです。

Everlane

出典:jp.everlane.com

 

工場での製作の様子や、生産者の笑顔などが掲載されています。

 

Everlane

出典:jp.everlane.com

売れ残りは捨てない

さらに、売れ残り商品は、購入者に値段を決めて購入してもらうなど、作った商品を捨てない取り組みを様々やっています。

 

これまでのアパレルブランドでは、ファンを確保するために、
希少性を確保し、高級感を維持するために、値下げは絶対に行われませんでした。
そして、原価や生産状況は決して明らかにされることはありませんでした。

その真逆を行く戦略を取ることで、逆にファンを確保することができたという結果にたどり着きます。

 

実は、日本では、もう20年前に、このコンセプトの先人を切ったブランドがあります。
このブログでも紹介した「ミナ・ペルホネン」です。

皆川明さんの考えは、流行に左右されずに長く使われる服、物語が宿る服、生産者との繋がりを大切にする。というコンセプトはまさにEverlaneよりもはるかに早く実現してきたとおもます。
➡️ 詳しくはこちらの記事を参照ください

 

モノ売りだけでなくコト売りも組み合わせたPeloton

PelotonというD2Cブランドは、今まで取り上げてきたD2Cブランドのようにモノを売るだけでなく、コトを組み合わせて売っています。

Pelotonが売っているのは、ジムにいかなくても、自宅でエクササイズバイクを楽しめるというサービスです。
➡️ Pelotonの公式サイト

Pelotonはエクササイズバイクを販売していますが、
そのエクササイズバイクの正面には大きなモニターが付いています。

このモニターに、インストラクターがライブで配信するサービスをつけているのです。

 

エクササイズバイクに加えて、インストラクターが提供するコンテンツを月額有料でサービス提供しているのです。
インストラクターのコンテンツだけでなく、一緒に参加しているバーチャル上の他のユーザーを意識する事で、自宅にいながらも一人ではなく、みんなで頑張っているという一体感を味わうUXになっているのです。

健康製品にありがちな、買ったはいいけどやらなくなるという事を防げます。
そして、インストラクターによるコンテンツに投資を行い、継続的に実施する事で、ユーザーからの評価が高まり、ユーザーがユーザーを呼ぶという正のループが回り続けます。

 

イーロン・マスクが作ったテスラは、ソフトウェアを大幅にUpdateし続けていることが度々ニュースになります。
もはや、あらゆる機器は、単純に売り切り、買い切りではなく、買った後もUpdateされていくことが当たり前になるでしょう。

 

 

この記事は今後も随時更新していきますので、Updateを楽しみにしてもらえればと思います。

 

さらに詳しく知りたい方はこちらの書籍がおすすめです。

 

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