こんにちは。アート大好きkurokoです。
前回に続いて川瀬巴水氏をとりあげます。
前回は平塚市美術館で開催された川瀬巴水展を特集しました。
まだ見られていない方は、下のリンクからどうぞ。
➡️ 近代浮世絵師 川瀬巴水展に行ってきた!
今回の記事は、前回紹介しきれなかった川瀬巴水さんの他の作品を見ていきたいと思います。
1883年、東京の芝に生まれる。
本名は文次郎。10代から画家を目指し当初は日本画を学ぶ。一時は家業を継ぐも夢を諦めきれず25歳で家業を妹夫婦に任せ、絵画の道に。遅い始まりで洋画を目指すが、再度日本画の世界へ。29歳で「巴水」の画号を得る。
1918年、伊藤深水の影響で版画家に転向。以降生涯、風景版画家として全うした。
全国を旅行し数百点とも言われる版画を残しているが、シリーズ物が非常に多い。
東京十二題、東京二十景、旅みやげ第一集〜第三集、日本風景選集、朝鮮八景など。
また、スティーブ・ジョブズが一目惚れし、多数コレクションしている。
それでは、どんな作品なのか早速みていきましょう!
東京二十景シリーズ
川瀬巴水氏が本格的に浮世絵を作り始めたのが、大正7年頃です。
そこから作り始めたのが東京二十景シリーズです。
足掛け10年近くにわたって制作されているようです。
現在の東京をイメージしながら絵を見てみるのも面白いと思います。
東京二十景 駒形河岸 大正8年
駒形といえば浅草駅からちょっと南の隅田川の河岸のことだと思います。
大正8年にはこんな感じだったのですね!
東京二十景 三十間堀の暮雪 大正10年
現在は埋め立てられてしまいましたが銀座の川として、三十間堀川というのがありました。
現在も三十間堀跡という記念碑が残っています。
東京二十景 春のあたご山 大正11年
港区にある愛宕神社ですね。都心の中でぽっこり膨らんだ山になっています。出世の階段という急な階段が有名ですね。
ここは比較的現在も変わらないまちなのではないでしょうか。
東京二十景 芝増上寺 大正14年
川瀬巴水氏の傑作と言われています。増上寺は何度も作品化されていますね。
東京二十景 新大橋 大正15年
この作品は近代化されている東京の雰囲気を象徴しているかのように見えます。
夜だとは思いますが、煙で真っ黒な産業革命が進むような印象ですね。
東京二十景 御茶ノ水 大正15年
御茶ノ水の雪の風景。現在はビルばかりのイメージですが、こんな時代があったんですねー。
関東の風景シリーズ
こちらは関東全般の風景集です。
清洲橋 昭和6年
東京のセットに入ってもいい作品です。
この橋、現在も現役でこの絵の通りの形を残しています。
インスタで近い構図を見つけました。
相州七里ヶ浜 昭和5年
七里ヶ浜。江ノ島が見えますね!
満月の夜に浴衣で散歩。
昔は豊かな時間が流れていたと感じます。
東海道風景選集 日本橋(夜明け) 昭和15年
こちらは日本橋。ピンク色の雲がきれいです。
日本橋は東海道の始まりなので、東海道風景選集の一番目ですね。
今はこの上に高速が走ってこのような風景にはなっていません。
亀戸の藤 昭和7年
藤の花の色がきれいですね。版画とは思えない!
鎌倉大仏 昭和5年
こちらも今も変わらない鎌倉の大仏。
埼玉田宮町 昭和16年
版画にすると、ゴッホのヨーロッパの雰囲気も感じられます。
木が夕日で赤くなる様子が美しい。
埼玉県の田宮村は現在の杉戸町あたりだそうです。
春日部市の北側にあり、東武動物公園があるあたりです。
地方の風景シリーズ
上州法師温泉 昭和8年
法師温泉は、現在群馬県の北、新潟県との県境に近い場所にあります。
今も同じような雰囲気!
吾妻橋 昭和18年
紅葉がきれいですね!
青と黄色・オレンジの対比が素晴らしいです。
湯宿の朝(塩原新湯) 昭和21年
こんな旅館に泊まってみたいですねー。
紅葉と夕日で赤に染まる山と森。
火鉢で暖をとりながら、ゆっくり眺める風景。
鯉のぼり(香川県豊浜) 昭和23年
5月らしい突き抜けるような青空。
壁は剥がれ落ちていますが、田舎町の雰囲気がなんとも懐かしさを誘います。
舟津の秋 昭和28年
北斎に負けずと富士山の作品もあります!
今と変わらずやはり雄大な富士山。
時雨のあと(京都南禅寺) 昭和26年
時雨のあとという通り、地面に残った水たまりと、そこに反射している様が美しい。
海外の風景
葛飾北斎や歌川広重ですとさすがに海外の風景はありませんが、川瀬巴水氏は海外の風景も版画にしています。
これは外国からも人気が出ますね!
華盛頓記念塔 昭和10年
漢字の名前ですが、アメリカの首都ワシントンDCの桜ですね。日本から送られたソメイヨシノです。
太平洋戦争前の版画としても感慨深いものがあります。
いかがでしょうか?
川瀬巴水氏の新版画の魅力にどんどん引き込まれる筆者です。
今後も川瀬巴水氏の様々な作品を見ていきたいと思います。
川瀬巴水、興味持っていただいた方はこちらの本もおすすめです!
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