こんにちはart大好きkurokoです。
今回ははるばる新潟県は十日町にあるホテル「光の館」を鑑賞してきましたので深掘りしていきます。
この「光の館」現代アーティストのジェームズ・タレル氏の作品ですが、なんと宿泊もできちゃいます!!
ただし、一組しか泊まれないので、、なかなか予約は取れませんが、昼間に見学することは可能です。
なお、新潟県十日町地域は、「大地の芸術祭」で有名です。
大地の芸術祭とは、2000年より開催されている世界最大級の地域一丸となって開催されている芸術祭です。
新潟県十日町を中心として開催されており、年間を通して、各所に点在する約200のアート作品やイベントを楽しむ事ができます。
また、3年に一度越後妻有アートトリエンナーレも開催されています。
それでは、光の館とは一体どんな作品なのか深掘りしていきましょう!
光の館(House of Light)とは?
光の館は、光のアーティスト、ジェームズ・タレルの作品で、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2000の作品として誕生、そのご2015年に改装され生まれ変わりました。
タレル氏のアート作品でありながら、ホテルとして宿泊もできるという大変贅沢な施設です。
ホテルではありますが、中の見学は可能です。
今回、昼間の見学として行ってきましたので、どんな様子であるかリポートします。
タレルの作品
一言でこの作品を表現するなら、
伝統的な日本家屋の和室から切り取られた空が見えるという作品です。
写真で見るとなかなか伝わらないのですが、とても贅沢な空間です。
空の景色がどんどん変わります。
畳に寝っ転がって天井を見上げてぼーっとするという、なんとも贅沢な時間の使い方です。
開閉式の天井
最初に入ると、下の写真のように天井は閉まっています。
この天井を開ける事ができるのです。
見学に行くと、スタッフの方が説明と天井を実際に開けてくれます。
※ちなみにガラスなども入っていない完全に空と空間が繋がるため、雨が少しでも降っている場合は屋根を開けることはできないそうです。
主室からの眺めが素晴らしい
そしてこの光の館は高台に位置しているので、眺めが素晴らしいです。
私たちが訪れたのは初夏でしたので緑がとても映え、奥にはまだ雪のかぶる八海山が見えました。
日本家屋+タレル氏のデザインコラボも素晴らしい
他の和室も見てみましょう。
こちらは普通の和室ですが、天井の照明がタレル氏によりデザインされています!
1階にある和室は、外の庭が望めるようになっています。
そのまま外に出ることもできますね。
中廊下もこんな感じで美しいです。
こちらは襖の取手。
ふすま一つひとつが違うデザインになっています。
ディテールも結構作られています。
ホテルとしても素晴らしい
お風呂も見学できました。
完全貸切で利用できます。
外とつながっており、こんな感じで庭を見ながらお風呂に入ることもできるそうです!!
ちなみにこのお風呂、夜になると下の写真のような照明になるそうです!
トイレも光でデザインされています!
次の章では、この作品を作り出したジェームズ・タレル氏について深掘りしていきます。
作者のジェームズ・タレルとは?
この作品を作り出したジェームズタレル氏とはどんな人物なのでしょうか?
ジェームズ・タレル(James Turrell)
1943年生まれ。ロサンゼルス出身
1965年ポモナカレッジにて心理学で学士号取得、カルフォルニア大学アーバイン校で芸術の研究
1973年クレアモント大学院大学で芸術修士号を取得
1960年代から作品の発表を続けている。
日本でも活発に活動しており、1995年に水戸芸術館での個展を皮切りに埼玉県立近代美術館、世田谷美術館で巡回展、
金沢21世紀美術館、香川県の地中海美術館には空を切り取るシリーズの作品が設置されている。
この光の館は、タレル氏の世界を滞在生活として体験するというコンセプトで作られました。
瞑想するゲストハウスという構想は、谷崎淳一郎の「陰翳礼讃」の中から見いだしたそうです。
光の館のホームページにタレル氏が構想に当たって考えた思考が記載されているので転載しておきます。
“House of Light”構想にあたって
初めて北川フラム氏に会った時、越後妻有地域のために「瞑想の館」をつくってほしいと依頼された。
その時、彼に手渡されたのが、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』だった。彼から示された条件は、豪雪地であるため、床を2.7メートルほど上げてほしいということだった。
『陰翳礼讃』を読み、私はこの地域の伝統様式に則った家屋をつくろうと思った。
谷崎が言う「われわれが既に失いつつある陰翳の世界」。
それを私は、外の光と室内の光を関係づけ、光の中で生活できる空間として実現したいと思った。外の光とは空の光である。私は屋根がスライドし、開かれた天井から空の光を見上げられるようにした。
「われわれが住居を営むには、何よりも屋根と云う傘を拡げて
大地に一廓の日かげを落し、その薄暗い陰翳の中に家造りをする」
「日本の屋根を傘とすれば、西洋のそれは帽子でしかない」と谷崎は言うが、
私がつくろうとする館の屋根もまた傘でなければならない。
それはまさに覆いかくす傘であり、開かれる傘である。空の光は昼と夜で異なる表情を見せる。
また、室内の光として、私は水の光、浴槽の水の中の光を見下ろすようにしたいと思った。
光ファイバーを使い、水の中の光を体験できるようにした。2階からは信濃川へと続く木々を見渡すことができ、1階では木々の中にいるように感じられる。
室内は、光のやわらかな変化を体験できる空間とする。障子、床の間など日本人にとって親密な語彙を用いながら、
自然光と人工光を調和させ、「陰翳の美」を創り出す。そこに、空の青、壁の金、床の間の赤、浴槽の緑、
そして全体を覆う黒い色調が微妙なコントラストを与えている。
それは「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える」
日本の文化への、西洋の文化を背景としてきた私なりのアプローチであった。これまで「光の知覚」を探求してきた私にとって、『光の館』とは、
昼と夜、東洋と西洋、伝統と近代を対比するとともに融合する試みであった。出典:https://hikarinoyakata.com/space/
ジェームズタレルさんの他の作品も見てみましょう。
金沢21世紀美術館のタレル氏の作品
金沢21世紀美術館でもジェームズ・タレルさんの部屋があります。
天井もさることながら、下に落ちた光も美しいです。
金沢21世紀美術館でこの作品をみたとき、ローマのパンテオンを思い出しました。
パンテオンも天井が丸型に完全に開いており、光や雨が降り注ぎます。
タレル氏がローマのパンテオンに言及した文書は発見できませんでしたが、個人的には影響などがあるものだと感じます。
このパンテオンは、空を切り取るというよりは、下に落ちてくる光に注目するような作りになっています。
光の館の入場料・宿泊料、アクセス・駐車場
見学するには料金がかかります。
大人(中学生以上):600円
小学生:300円
幼児:無料
見学可能時間は11:30-15:00まで。
宿泊する場合
宿泊料金は、施設利用料と一人中の利用料の二種類の合計で設定されています。
施設料金
・4/1-11/30: 30.000円
・12/1-3/31: 25,000円
一人当たりの利用料
・土日祝祭日:大人6,000円、子供3,000円
・平日:大人5,000円、子供2,500円
また、直接公式ホームページから予約する事ができます。
➡️ 光の館公式ホームページ
光の館へのアクセス
光の館は、十日町から山を少し登ったところにありますよ。
駐車場も完備されています。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。
大地の芸術祭の記事
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