こんにちは。ブランドパーパス研究家のkurokoです。笑
コロナウィルスとの戦いは、想定されていた通り長期戦の様相が出てきました。
一方で、第一波の終息もみえてました。
この数ヶ月の間に様々な事が起こり、私たちの生活も大きく変わりました。
数日から1週間では無く、それなりに長い時間だったため、新たな発見や、一人ひとりが価値観が変わりつつある事も多いです。
この記事では、アフターコロナにおいて、消費者・生活者がどのように変わりつつあるのか、
そして、企業が大切にすべき事はなんであるのかについて論じていきたいと思います。
本題に入る前に、新型コロナ渦が猛威を振るう中、
医療に従事させれているみなさま、
行政に従事されているみなさま、
物流に従事されているみなさま、
その他、ライフラインを保つために従事されているみなさま
本当にありがとうございます。
くれぐれも無理ないようにお仕事頑張っていただければと思います。
それでは、本編を掘り下げていきたいと思います。
コロナで生活者の心理はどのように動きつつあるのか?
新型コロナの影響で、我々消費者は多くの面で生活様式を変えていくことを強いられてきました。
その中でたくさんの影響が出て、そしてなんとか対応、そして適応してきています。
アフターコロナの世界においては、徐々にもとに戻る事と、もう元には戻らない事があります。
その中で、企業が注目すべきことは、生活者の心理面だと考えます。
なぜなら、価値観の変化はその後の行動の変化に如実に現れるからです。
平常時においても、行動変容を起こす事が最も難しいですが、今回のコロナによって、行動変容はある種強制的に実施されました。
結果、強いられてやってみた事が実は良かった。
中期的にやっていた事が、イレギュラーな事ではなく、日常的な事に昇華した。という事が起き始めているのです。
影響が大きい方と小さい方の差
今回のコロナは、いわゆる今までの経済危機とは様相が違います。
世界恐慌や、日本のバブル、ITバブル、リーマンショックなどの金融危機は、いつも市場から発生し、金融機関の信用不安から始まりました。
結果株価が大きく下げ、大企業の経済活動が低下し、結果的に末端まで影響が伝わります。
特徴的なのは、多くの生活者にとっては、その影響がそれほどダイレクトでは無い事。
一方で、今回のコロナは、まさに末端から始まっています。
株価の水準は、一旦大きく下がりましたが、わずか2ヶ月たらずで大きく戻しています。
大企業への影響はそれほどではなく、困っているのは中小企業の商売です。
業種としては、旅行業、飲食業、必需品では無い小売業、リアルなエンタメ業、人の移動を生業とする業種が打撃を受けているのに対して、
デジタル小売、デジタルエンタメ、物流、生活必需品の小売は特需と言えるほど業績は上がっています。
このような状況は、コロナウィルスにより発生している事象に対して仕方が無いのですが、
社会全体においては、影響が大きく出ている方と、生活様式は変化しているが経済的にはさほど出ていない。むしろお金が余ってきている方。
この二極化が進んでいる状況です。
このような状況下では、社会不安が起こりやすいです。
職業によって、差が大きく出てきます。
不安から、不公平感を感じ、不満となり、本来ぶつける場所の無い怒りの矛先を探し始めます。
結果として、さらなる不幸を招きかねません。
この状況下において大切なのは、全員がWinする事。
苦難の状況下で、短期的な一人勝ちは、長期的には負けていく事になります。
企業の立ち位置では、ここをどれだけ意識して、舵取りできるかが重要になると考えらます。
お金を使わないことで経済が止まる
次に注目したいのは「お金」の性質です。不況になるメカニズムです。
リーマンショックなどの過去の危機では、大企業から影響が出てくるという話をしました。
この時の不況になるメカニズムは、だいたい以下のような形です。
大きな企業が倒産する。
銀行や株主など、大企業にかけていたお金が戻らなくなる。
銀行や株主は、手元のお金を確保したくて使わなくなる。
銀行から借りたい。株主から出資してもらいたいという企業や個人にお金が回らなくなる。
企業はお金を使うことを控える(新たな投資を控え、従業員の給料を下げたり、減らしたりする)。
個人はモノやサービスの購入を控える
この繰り返しで不況が深刻になっています。
一方で、今回の不況のメカニズは、以下です。
飲食店や旅行などのサービスが止まる。(生活者の個人は使いたいと思っているにもかかわらず)
飲食店や旅行などの従業員の給料がもらえなくなる。飲食に食品を売る会社の売上もなくなる。
従業員は、給料が減り、お金を使うところがなくなる。
あらゆる業種のお客さんが減る。
さらに、長期化して、飲食店が倒産すれば、不動産も賃貸収入がなくなる。銀行は貸付金が無くなる。
といった具合に、コロナの影響を直接的に受けない業種にも広がっていく事になります。
このメカニズムで重要なのは、お金を回す事です。
政府がとっている対策は非常に正しく、お金をとにかく渡して、それを経済に還流させる事が何よりも大切なのです。
ここで、間違ってはならない考え方は、「節約してはならない」という事です。
もちろんコロナの影響でお給料が減ってしまった場合には、節約せざるを得ません。
しかし、直接的な影響が出ていない7割の生活者は、節約するのではなく、積極的に、苦しい方にお金が回るように使う。
この事が大切です。
例えば、10万円の支給がありますが、経済的に困窮していない人は受け取るなという話があります。
これは、今回の不況のメカニズムがわかっていれば、10万円を受け取って、苦しい方にお金が回るように使う方が、良いのです。
この事に多くの人が気づき始めています。
そして、どの企業に使えば、どうお金が回るのか。という点が生活者にとって気にする点になりつつあるのです。
正直、今の時代、機能的には大差のないモノ・サービスになっています。
生活者は何を見て、どのモノ・サービスを買うか。
企業は、生活者が自社のモノ・サービスで売り上げたお金の使い方までを考えて、ブランド設計していくべきなのです。
この惨状での企業や個人、政治家の取り組みの明暗
今回のコロナが、明らかにしつつあるもう一つのことは、今回のコロナの状況に対する対応です。
何を言っているかというと、
日本では幸か不幸か、ロックダウンされたと言っても、海外のように強制力はありません。
自粛をお願いする。自粛を指示する。
ここまではできても、最終的に判断するのはお店です。
その中で、一部のパチンコ店では営業を続けていたり、
ルールに則った営業時間で飲食店を開けていても、嫌がられが起こったりしています。
生活者はこのような状況をしっかりと見ています。
いいサービスという観点と同様に、企業の倫理性、
つまり、社会的正義や社会のために動く企業なのか、企業の利益を最優先して動く企業なのか
ここを生活者は注目し始めています。
言い換えると、経営方針の根幹にある世界観やブランドパーパスが問われています。
実はこの流れは、コロナで始まったわけではありません。
地球温暖化への対応
少子高齢化への対応
節税目的の穴を探すような対応
こう言った対応の中で、「SDGs」というバズワードも出てきている最中、新型コロナウィルスの蔓延が発生し、
この考え方が加速的に広まっている状況下にあります。
今後企業は、利益を追う事が最も大切なのではなく、ブランドパーパスや世界観がより重視される事になるでしょう。
次の章では、それでは企業は具体的にどのような事に取り組むべきなのかについて、掘り下げていきます。
企業が意識すべき事は何か?
企業は前章で見た通り、生活者の変化を敏感に捕まえる必要があります。
その中には、アフターコロナでおさまる部分と、もう元には戻らないものもあります。
この感覚を敏感に捉え、変化に適応できる企業こそ、次のパラダイムの世界で、強くなっていく企業と言えるでしょう。
それでは、どのような点を意識すべきなのか。
業種や企業のビジネスによっても異なることが山ほどあるが、大きな流れとして意識すべき点は以下の三つです。
- 生活者は企業のブランドパーパスを強く意識する事になる
- 生活者は企業のみが生き残るのではなくエコシステム全体を勝たせる企業を好むようになる
- 生活者は企業にお金が渡った後、何に使われるかも考えるようになる
それぞれ、企業はどういう風に変容・適応していくべきでしょうか。
企業のブランドパーパス・世界観を構築し直す
1点目は、企業のブランドパーパス・世界観の構築です。
前章で触れたのは、生活者は企業が提供する商品やサービスの質よりも、その企業が、社会課題に対してどれほど有益であるのかについて、敏感に感じとるという事です。
もちろん、商品やサービスのクオリティがかなり低い状態では話になりません。
しかし、現状では、そのクオリティには大差がない状況になっています。
消費者は価格comなどで、機能性とコストを比較して選んでいますが、そこも大差がない状況になっています。
そうした場合、消費者が注目するのはその企業の世界観やブランドです。
より好きな商品や企業のモノを購入する事になるでしょう。
この世界観やブランドは、単純に見た目のかっこよさや人気では無くなる。
ハリボテで表層的な良さでは無くなるでしょう。
例えば、アパレルなどの大手ブランドは近年そのブランド力を急速に落としてきています。
毎年の流行を作り出し、その流行に合わせた服を作成し、高額で販売してきました。
一方で、生産した量の半分を焼却処分したり、生産拠点である東南アジアの劣悪な環境、極端に低いお給料での生産が大きく問題視されています。
そんな伝統的なブランドに対して、台頭してきているのがスタートアップのブランドです。
例えばEverlaneというブランドは、一つの服を制作するのにかかったコストを全てwebサイトで公開しています。
そして、単年度で古くなる流行を追い求めるのではなく、長く使える服のデザインを意識しています。
海外の新進気鋭のスタートアップではなく、日本の「ミナ・ペルホネン」というブランドは20年前からこのような取り組みを進めています。
このブログの別の記事でも過去取り上げましたので詳しくはそちらを読んでみてください。
➡️ D2Cの波 -圧倒的な透明性を提示するEverlane
➡️ 「ミナ ペルホネン」長く使えて生産者と連携するブランド
このようなブランドや世界観を築いた企業は、非常に強いです。
なぜかというと、生活者は、企業の商品の「機能」で選ぶのではなく、「意味」で選んでいるからです。
例えれば、星野源というアーティストが好きな人は、音楽を購入する際に、価格comで星野源と他のアーティストで機能比較することはありません。
星野源が好きだから、星野源の世界観が好きだから、星野源の音楽が出たら買うのです。
音楽は当たり前すぎるように思えますが、このブランドや世界観の戦略で圧倒的に成功したのがAppleです。
iPhoneやMacを購入するときに、多くの人がApple内の商品と日かすることはあっても、他社のスマホやパソコンと比較しないと言われています。
そのブランドが好きで、iPhoneを持っている自分が好きなのです。
このように、今後、生活者に認められる企業になっていくためには、企業としてより所とするブランドパーパスや世界観を設定し、それを指示される事が何よりも大切です。
そして、世界観で求められる事が、今後、単に「見た目が良い」だけでは無くなるでしょう。
エコシステム全体を勝たせる
2点目は、エコシステム全体を考えるということです。
前章では、今回のコロナウィスルでは、大きな影響を被る業種と比較的軽微な業種があるという話をしました。
しかし、経済では密接につながっているため、短期的に影響のない業種も長期的には影響が出てくる事になるという話もしました。
あらゆる企業は、一社だけで成り立っているのではなく、エコシステムの中に生かされているというのを、今回のコロナウィルスは、明らかにしつつあります。
ビフォアコロナの世界では、自社企業の商売を成り立たせるために、下請け企業などの取引先企業に無理を強いてでも生き残るという事も多くやられていたと思います。
しかし、こう言ったことは、アフターコロナの世界では、いよいよ生き残れなくなる作戦であるという事です。
これは、自然界のエコシステムとよく似ています。
家畜の敵となるライオンを殺したら、家畜が爆増し、餌となる草がなくなり、結果家畜を育てる事ができなくなった。
このようなケースと同じです。(今回はどちらかというと草が枯れてしまった状況にありますが)
この場合に、草をしっかりと育てて、バランスを保つ必要があります。
今後企業に求められるのは、自社が利益を稼ぎ続けるのではなく、しっかりと周りのエコシステムにも勝たせて、利益を循環させる事が何よりも大切になるでしょう。
売上げたお金の使い道までも設計する
上記の2点目と絡む話が、売上げたお金の使い道をしっかりと考えるという点です。
先ほど、Everlaneというアパレルブランドが、服を作るのにかかったコストを公開しているという話をしました。
これは、生活者が自分が支払ったお金がどのように使われているかを気にしている。ということでもあります。
ビフォアコロナでは、お金に色はつきませんし、企業は自分で稼いだお金をどう使おうと自由ですし、利益をどれだけあげようが自由です。
アフターコロナでも、もちろん自由なのは変わりません。
しかし、今回のコロナ問題で我々は、お金が適切に循環する事の大切さを身をもって知りました。
つまり自分たちがどこでお金を使えば、どのように回っていくのかという事を知りたくなっているのです。
例えば、テレビ業界を振り返ってみましょう。
かつては、表層的なカッコよさにたくさんの若者が憧れました。
しかし、ネットの時代、その裏にあるブラックさや、不透明な権力構造に生活者は愛想をつかして離れていきました。
今の時代、表と裏を使い分けていることはできません。
同じように、企業がどのくらい売上をあげ、その売上をどのように使っているのか、
下請けに無理を言ってブラックにやらせようとしているのか、
(働き方改革で改善されているとはいえ)従業員に適切な分配をしているのか。
生活者は気にして、自分のお金をどのように使ったら、社会として一番良いのか。についてより注目するようになるでしょう。
生活者の注目は敏感に感じ取り、そのような情報を提示するメディアやネットの個人が出てくる事でしょう。
企業は、今後いち早くここを考え、手をうっていく必要があります。
最後に
今回あげたアフターコロナで変わっていくであろう予測はほんの一部です。
突然アフターコロナになるのではなく、徐々に生活者の価値観が変わり、そこにアライン、適応していく企業が現れ、徐々にそう言った企業に生活者が移っていく事になると思います。
そして、気づいたときには、あの時ああしておけばよかった。と振り返る事になります。
大切なのは、このコロナ禍において、目の前の状況に対応し、早く元に戻ることを祈るのではなく、
目の前の状況に対応しつつも、敏感にお客様の意識の変化にアンテナをはり、
賢く企業を変化させ、トライ&エラーで試し、うまくいったら一気にアクセルを踏む。
これを高速で回転させ続ける事です。
今回の記事は以上です。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。
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