こんにちは。建築にはめがないkurokoです。
先日香川県高松市に旅行してきました。
香川県はアートの島、直島やイサム・ノグチ庭園美術館など芸術を目的に訪れる人も多い場所です。
そして数々の有名建築も生まれています。
先日はその中でも1958年に建築家丹下健三さんが設計した香川県庁舎を紹介しました。
今回は同じく丹下健三氏が設計した旧香川県体育館(通称:船の体育館)をみてきたのでレポートします。
香川県立体育館、通称「船の体育館」は、建築家丹下健三氏によって1964年に設計されました。
1964年という年号、そう東京オリンピックが行われた年です。
1964東京オリンピックでは丹下健三氏は代々木体育館も設計していました。
形を比較していくと面白いです。
この建物は、香川県内の屋内競技が行われてきた歴史的な場所であり、香川県のスポーツの「聖地」と呼ばれています。
また、2014年には閉鎖され、以降存続の危機が続いている建物でもあります。
それでは船の体育館を見ていきましょう!!
旧香川県体育館(船の体育館)の構造とデザイン
船の体育館は、和船を模したデザインが最大の特徴です。1964年の東京五輪開催に合わせて建設され、丹下氏の代表作である国立代々木競技場と同じく、つり屋根構造が使用されています。特殊な屋根の形状が、建物に独自の雰囲気を与えています。
建物の最初の印象は、和船を模した非常に独創的な形状です。和船の舷側を彷彿とさせるデザインは、他に類を見ないものであり、その存在感はなんとも言えません。特に、屋根の釣り構造や庇裏の打ち放しコンクリートの見事な仕上げには、建築家の独創性が表れています。打ち放しコンクリートの文様が微妙にずれているところに手作りの痕跡が見え隠れし、その工芸的な要素は観る者を引き込むものがあります
体育館の外観には、打ち放しコンクリートの見事なデザインが施されています。庇裏には、角を曲線にした菱形が繊細かつ精密に配置されており、一つ一つが異なる形状を持っているようです。これらのデザインは、現場で型枠を造り、鉄筋を配置し、コンクリートを流し込むことで実現されたそうです。手作りの痕跡が感じられ、工業製品とは異なる一品生産の建築の楽しさが伝わります。
これだけ巨大な建物が廃墟のようになっており、一種の異様さを放っています。
訪れた日はとても天気がよく、空が青い。
まるでこれから宇宙に向かうような宇宙船の雰囲気。
そして、その宇宙船にはどこか乗組員が消えてしまったような寂しさが感じられました。
建築家丹下健三
丹下健三さんは1913年生まれ。東京大学の建築科出身。
建築のノーベル賞と言われるプリツカー賞を日本人で初めて受賞(1987年)
まさに戦後の最初の日本を代表する建築家です。
代表作に代々木体育館や新宿の都庁舎などがあり、
東京大学に丹下研究室を持って次の世代でも有名な磯崎新、黒川紀章、谷口吉生など丹下先生の元から有名になった建築家をたくさん輩出しています。
香川県庁舎を設計した時の丹下健三さんは45歳。
建築家としてはまだまだ若いと思います。
そんな若い丹下さんがこんな重要文化財にもなる建物を設計したというのですから物凄い事なんだなと改めて実感しました。
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旧香川県体育館(船の体育館)の解体の背景と議論
老朽化が進んだ船の体育館は、2014年に閉館してしまいました。
その後、耐震改修工事を試みましたが、屋根構造の特殊さから工事が難航しました。
また、市は民間などへ活用策のアイディア募集や入札などを様々仕掛けましたが、有効な活用策が見つからなかったそうです。
丹下健三氏が設計した建物でもビジネス的に成り立たせることが難しいという現実は、なかなかに衝撃的です。
かといって、血税を投入してまでただ存続させるために建物を残すわけにもいきません。
地域創生や人口減少といった課題は、文化の継承にも大きく影響する問題なんだと実感させられました。
丹下健三氏の船の体育館。近い将来実物を見れなくなってしまうかもしれません。
今のうちに急いで見にいきましょう!!
今回の記事は以上です。
最後まで見ていただきましてありがとうございました。
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