こんにちは。建築を愛してやまないkurokoです。
私が大学生の頃、もう20年前から有名だったSANAA(サナア)=妹島和世 + 西沢立衛さんの建築展に行ってきました。
SANAAといえば、金沢の21世紀美術館をはじめ、たくさんの有名建築を生み出しています。
ミニマリズムのイメージでとても軽い印象の建築を作られます。
安藤忠雄さんや伊東豊雄、隈研吾さんにまさるとも劣らない実績を持つ方々と思います。
安藤さんや隈研吾さんとはまた違う日本的なデザインで、日本だけでなくグローバルで認められ、海外の大建築の実績も広げられてきたのだなと改めて認識しました。
そんなお二人SANAAの建築展が東京の乃木坂にあるギャラリー間で開催されましたので、行ってきました。
最新のグローバルでの作品がたくさん掲載されていました。
それでは、SANAA展を深掘りしていきましょう。
SANAA展 「環境と建築」
SANAAとは?
SANAAとは妹島和世さんと西沢立衛さんお二人の建築家ユニットです。
建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を2010年に受賞、さらに日本建築学会賞はもちろん、ベネチアビエンナーレの建築展で最高の金獅子賞も受賞されています。
1996年から活動されて、妹島さんは当初からかなり有名な建築家でしたが、特に金獅子賞を受賞した金沢にある21世紀美術館でSANAAがかなり有名になった印象があります。
今回の展示会の題名が「環境と建築 Architecture & Environment」ですが、そこには、建築が人と環境を切り離す「境界」という役目を果たすのではなく、むしろ建築自体が環境に溶け込める、そこにいる人たちが環境につながっていくような場にしたい。という思いが込められているそうです。
SANAAの建築は当初から「境界」というものが曖昧なように感じていました。
ガラスや白、あるいは透明で軽い素材が多用されており、背景にはそういう考え方があったのかと改めて納得感があります。
それでは、展示されている模型を中心に紹介します。
新香川県立体育館
現在建築中の新香川県立体育館です。
まずはコンセプト模型。
円が二つ有機的に繋がったような雰囲気。体育館の屋根部分でしょうね。
(こどもの国にこんな形をしたトランポリンのような遊び場があるなぁ。なんて考えていました)
上の階には精緻な模型とともに、詳細な図面がプロジェクターで東映されています。
大小二つの縁型のアリーナと長方形の体育館も併設されています。
SANAAの模型は白が基調。木は透明なアクリルに印刷されているような形で作られています。
中の縮尺の大きい模型も展示されていました。
一つ一つの椅子まで作り込まれています。
屋根の構造もよくわりますね。
模型をアップで撮ってみました。
格子状の屋根。
体育館のそれ自体は意外と普通な感じかなとういふうにみましたが。
一番最初のコンセプト模型のような建築が、しかもかなり大きな形で現れるインパクトは大きいでしょうし、
自然の中に異物のような形かもしれませんが、白くて柔らかい建物は非日常性でありつつも、有機的なまるい形が親和性を持って環境に溶け込んでいくのだろうなと想像しました。
Puyuan Design and Center
いったいこれは何の模型だろう??
高速道路?
川?
まさかこれが建物なのか?
と展示されている状況からはわかりませんでした。
そしてスケール感もわかりません。
ただ、展示場の外の広大な面積を使って表現しているのですから、きっととても大きな建物なのだろうと。
このPuyuan Design Centerは中国のPuyuanという歴史的な街の島に位置する複合施設とのことです。
この屋外にある模型はその運河を表現しているようです。
そしてそこの建物はこちら。
ハリネズミのような突起がたくさんついている不思議な建物です。
突起をアップしてみるとこんな感じ。
実際の建物のイメージがこちら。
とっても不思議!!!
蘇州獅子山広場芸術劇場
こちらも名前を見ての通り中国の建物です。
やっぱり有名な建築家は中国での仕事が増えていますねー。
建物そのものというより、縮尺の大きいこの模型に圧倒されました。
大きな図面も掲載されています。
まだ実物はできていないようです。
➡️ 着工に関する記事はこちら
深圳海洋博物館
またまた中国の建築物。
海洋博物館の屋根です。
先ほど紹介した新香川県立体育館と似たようなコンセプトの形状に見えます。
中のドームは円形のドームが有機的に結合している感じです。
この一つ一つのドームを注意深く観察していくと、少しずつ骨組みの形状が異なっています。
幾何学の美しさと、幾何学から有機的な結合がされていて不思議な気持ちになります。
➡️ 中国の「深セン海洋博物館」SANAAによる「海の上の雲」をテーマにした提案が国際コンペで選定
ニューサウスウェールズ州立美術館 シドニーモダンプロジェクト
こちらはオーストラリアのシドニーでの案件です。
今まで円形を基調とした有機的な作品でしたあこちらの作品は正方形を基調とした作品ですね。
幾重にも重層された建物です。
SANAAの建築はどこが地上で、どこが屋上でどこが内部なのか分からなくなるような不思議さがあります。
よくよく観察していくと、あーこういう作りになっているのかといった発見があり、それも楽しめます。
一番下にある端っこの建物は波打った透明の屋根でできています。
別記事でみるとこの屋根もシルクスクリーンなどで遮光の加工がされているそうです。
他SANAAの作品
まだまだたくさんの作品が展示されていたので、まとめて紹介します。
HOUSE IN LOS VILOS
南米はチリにある週末住宅だそうです。
週末住宅って、建築をみていると出てくる単語で、普段全く使いませんが、
別荘ですよね。別荘とは言ってもらったほうがわから裏安いのですが。
実物はこんな感じみたいです。
いいなぁこんな別荘持ってみたい。いや、一度泊まってみたい!
SANAAの建築っぽくないというか、
安藤忠雄さんと坂茂さんと伊藤豊男さんの建築を足して割ったような作品ですね。
House in the Countryside Selestat
ボッコーニ大学新キャンパス
壁一面に作られた敷地の模型。
模型としては大作だなとは思いますが、ちょっとこれだけだとよく分からないなぁ。
実物はこんな感じのようです。
おお、SANAAだ。という感じですね!
三島のオフィス
富士山麓にある会社のオフィスの建築。
この地面をめくったように作っている感じと屋上庭園はお馴染みの手法に感じます。
模型からはそれほどわかりませんが、敷地には流出した溶岩も表出するような地形とのこと。
模型は中までしっかり作り込まれていますね。
木が実際の草花で表現されているのが特徴。
ししいわハウス No4
箱根にあるホテル。
箱根らしく山の中にある建物なのでしょう。
木の間を縫うような建築です。どこの部屋でもきっと森の中にいるような感覚が味わえそう。
Cascade
これはいったい何の建物??
答えは岩場の多い山岳地帯に建つ住宅だそうです。
住宅にしては部屋の数がかなり膨大そう。
ちゃんと何の部屋なのか、高さも書かれています。
2296mってかなりの高山に作られる住宅のようですね。
O-Project
最後はあまり写真が撮れていませんでしたが、縮尺の大きな模型です。
O-ProjectとはヨーロッパのホテルのPJの模様。
伊東豊雄さんが作られていた建築を彷彿させるような屋根だなぁ。
透明な灯り
番外編ですが、オブジェのような作品群がありました。
これ、照明のスタディ模型だそうです。
実物がその上にありました。
全部ガラスなんですね。
球のガラスがとてもきれいです。
そして、どこから光っているかというと一番下の部分。
これは夜にならないと湧かないなぁと思いながら、、
逆に明るい昼間にはオブジェとして楽しめるように作られているのかぁと。
展示会の情報は以上になります。最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
SANAA参考情報
さらに知りたい方はこちらの書籍もおすすめです。
この展示会でも置いてあり、パラパラめくりましたが3冊のボリュームある本で、SANAAの作品がかなり網羅されているようです。
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またSANAAといえばウサギチェアですよね。こちらも購入可能です。
➡️ 詳細はこちら
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